かわいい草取り名人 ヤギ&ヒツジ

一昨年、藤田農園の棚田の米作り(アイガモを使った自然農法)を視察された、ヤギ博士としても知られる鹿児島・萬田正治先生の執筆記事(現代農業2012年2月)。

ヤギブーム到来! 腰麻痺(ようまひ)に強い品種改良が進んでいる 
鹿児島・萬田正治


ヤギの人気、高まる

いま、ヤギが見直されている。農水省の統計からも外されているためヤギの全国の飼育頭数は不明であるが、最近、ヤギの飼育者が増え頭数も徐々に増加していることは間違いない。
2011年10月、沖縄で「第13回山羊サミット」が開催された。会場はヤギを愛する様々な分野の人でにぎわい熱気に包まれており、ヤギの人気が高まっていることを実感できた。
また、東日本大震災後、食と農への関心が高まり、若い夫婦などの農村への回帰が始まっている。その中には自給用家畜としてヤギを飼い始める人もいる。さらに、被災地の子どもたちを元気づけるために、はるばる沖縄から宮城県南三陸町の小学校にヌビアン種の子ヤギ2頭が贈られた。子どもたちの間で大人気になり、微笑ましく明るいニュースとして報道された。
ヤギの魅力として、人なつっこく愛らしい、小型なので子ども・女性・お年寄りでも飼える、乳は母乳に近く消化がよい、肉もヘルシー、雑草をよく食べ草刈りに利用できる、子どもたちの教育効果が高いなどが挙げられる。
世界的にみてもヤギは増加の傾向にあり、FAO(国連食糧農業機関)では21世紀の世界的な食料不足に備えてヤギやヒツジのような中小家畜を見直している。
これからもヤギに魅せられ飼う人が増えることを望んでいるが、ヤギ飼育にあたっては留意しなければならない点もいくつかある。その一つは腰麻痺(脳脊髄糸状虫症)という疾病。これは牛に寄生する糸状虫の子虫が、蚊の媒介でヤギに寄生し、脳脊髄に侵入してその組織を破壊するため、後躯が麻痺し、歩行困難、起立不能となる厄介なヤギの大敵である。梅雨~夏の高温多湿時期に蚊が多発する日本では、この疾病がネックでヤギ飼育が伸び悩んだといっても過言ではない。
古くから南西諸島で飼われてきた肉用の日本在来種(トカラヤギ、シバヤギ)は腰麻痺に強いが、明治時代以降に輸入されたスイス原産の乳用ザーネン種は腰麻痺に極めて弱かった。とりわけ沖縄・奄美や九州地方などの西南暖地では、ザーネン種は腰麻痺で倒れ、普及しなかった歴史的事実もある。
ちなみに明治時代の同時期に導入された乳用のアルパイン種やトッケンブルグ種もザーネン種と同じく欧州品種であり、腰麻痺には弱い。

続き 月刊・現代農業


コメント:たしかにヤギはかわいいし、乳も生かせるけれど、草取りを主目的というのでは長続きしないだろう。丹波ではヤギのブーム到来はまったく実感できない。丹波でヤギを飼っている農家は数件だろうと思う。日本の農業は草取りとの戦いと言ってもいい。その作業から解放されたらどれほど楽になるか。そう思ってもヤギを飼うことを躊躇するのは、やはり生き物だから世話が面倒(拘束される)ということで、ほとんどの農家が農薬や除草剤に走ることになる。残念なことに、萬田先生も十数年続けているというアイガモ米づくりがあまり普及しないのは同じような理由からだろう。しかしTPP後にも国の農政策に影響されない、むしろ価値が高まるのは、こういう農業(自然農法や有機農業)であることは間違いない。

今年の年賀状に「萬田農園」の写真が載っていた。霧島の棚田にあるというここも極楽のような景色だ。萬田先生とヤギに合うためにもいつか行ってみたい。